あたしと彩美は普段から加奈ちゃんとも仲がよかった。


名前が呼ばれた瞬間心臓が大きく跳ねるのを感じていた。


加奈ちゃんが死んでしまうかもしれない。


その思いで、一瞬頭の中は真っ白になった。


でも、この状況ではみんな加奈ちゃんを応援する流れになっている。


加奈ちゃんはクラスでも可愛い方だし、男子たちからも人気がある。


「加奈ちゃん! こんなオタクに負けるなよ!」


酒本君にそう声をかけられて、加奈ちゃんは怯えた表情を浮かべてすぐに視線をそらせた。


「なんだよ、応援してやってんのによ」


酒本君は加奈ちゃんの態度が気に入らなかったようで、唾を吐きかけている。


最低だ。


今から死ぬかもしれないバトルが始まると言うのに、その相手に唾を吐くなんて。


加奈ちゃんは酒本君を無視して部屋の中へと足を踏み入れた。


透明な部屋を落ち着かない様子で見回している。


そして、2人のバトルは始まった……。