吉本君は体当たりをするように重たい扉へ向かい、そして思いっきり開いた。


音を立てて開く扉。


しかしその向こうには真っ黒な壁が立ちはだかっている。


一瞬躊躇を見せながらも、吉本君はその壁を殴りはじめた。


自分の力でどうにかなると思っているのだ。


「おい！　開けてくれよ！　僕はゲームなんてしたくない！」


必死で叫ぶその姿は、奴隷部屋で死んでいった子たちを思い出させた。


吉本君の様子を見ていた他のクラスの生徒たちが、一緒になって壁を壊そうとしている。


「なにあれ、本当に開かないの？」


ようやくそんな声が聞こえてきはじめた


だけど、もう遅い。


「みなさんよく見ていてください。聞き分けのない生徒はこうなります」


ステージ上の男がそう言った次の瞬間、バンッ！と、風船が破裂するような音が体育館内に響き渡った。


それも、複数の音が。


吉本君と一緒に壁を壊そうとしていた生徒たちの頭が一瞬にして吹き飛んだのだ。


ドアの前にいた吉本君は首から上を失い、その場にずるずると倒れてしまった。


血肉が飛び散り、ドアの周辺を赤く染めている。


「いやぁあああああ！！」


体育館の中に悲鳴が響いた。