「あ、あの!」


突然吉本君が手を上げてそう言った。


あたしは驚いて視線を向ける。


「なんだ?」


ステージの男も驚いた様子を見せたが、すぐにそう返事をした。


「そのゲームには絶対に参加しないといけませんか?」


「もちろん。ここまで手の込んだ事を考えたのだから、全員に参加してもらいたい」


「で、でも……今日は体調が悪くて、その……」


吉本君はそう言いながら、ジリジリと後退していく。


この異常な雰囲気をいち早く読み取った生徒が他にもいたのだと、あたしは内心感心していた。


でも、吉本君の行動はダメだった。


「僕は、参加したくない!!」


そう叫ぶと、他の生徒たちを突き飛ばしながら体育館の出口へと走り始めた。


出口なんて、とっくの前になくなってしまっているのに……。