名前を呼ばれた結愛ちゃんは泣き叫びながら男に部屋の中へと入れられる。


「嫌だ! 助けて!! ここから出して!!」


クラスの中でも可愛くて、まるで妹のような存在の結愛ちゃん。


それが、今は涙で顔がグチャグチャだ。


もう1人の竜輔君は唖然とした表情のまま部屋の中に入っていた。


泣き叫んでいる結愛ちゃんを見てなにか言おうとしている。


しかしその言葉は途中で飲み込まれてしまった。


突然部屋の中に大量の煙が入って来たのだ。


「おや、少し煙の量が多すぎたか……」


男がボソボソと呟く声が聞こえて来る。


「こ、こんなの卑怯でしょ!!」


そんな声が聞こえてきて視線を向けると、そこには西山三春(ニシヤマ ミハル)ちゃんがいた。


結愛ちゃんと一番の親友だ。


三春ちゃんは結愛ちゃんの事を本物の妹みたいに可愛がっていた。


だけど結愛ちゃんは本当はしっかり者なんだよと、まるで自分のことのように自慢していたのを思い出す。


「よし、煙の量は調節できた」


「ちょっと、聞いてるの!?」


三春ちゃんの声に男は顔を上げた。


「あぁ、大丈夫。ランダムに選んだ中にもちゃんと面白さを含ませてある」


面白さ……?


あたしは男の言葉に首を傾げた。