逆らえば今よりもひどい事が待ち受けている。


これだけ大人数の生徒たちがいるのに、立ち向かうこともできない。


そう思った時だった、突然食べ物の匂いがしてきてあたしは周囲を見回した。


「なに?」


彩美もそれに気がつき、体を起こす。


ステージ上にはいつの間にかスーツの男が立っていて、その両端には豪勢な料理が並び始めていた。


「みなさまおまたせしました。次のバトルの前に少し早めの昼食の時間になります。どうぞ、ステージに上がってきて好きに食べてください」


昼食の時間……?


あたしはスーツ姿の男をジッと見つめた。


奴隷部屋ではこんな演出はなかった。


テーブルの上には見たこともないような豪華な料理がどんどん運ばれてきている。


「なんだよそれ……そんなの食ってる場合じゃねぇだろ!」


どこからかそんな声が聞こえて来た。


その通りだ。


豪華な食事を楽しんでいる場合なんてない。


「あたし、食欲なんてない……」


彩美がそう呟いた。


「……あたし、行ってくる」


あたしはそう言い、立ち上がった。