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そいて、バトル開始の数十分前。


学校裏に呼び出されたあたしたちは今から始まるバトルについて一足先に説明を受けていた。


バトルの主人公はあたしたち。


だからバトル内では相手の動きを<mother>が制御し、必ず勝てるようになっているということだった。


ここまできても、まだ実感はなかった。


殺し合いなんてできるわけがない。


警察が来てみんな捕まるだけだ。


そう思っていたから、普通の精神状態で男の話を聞く事ができたのだ。


その時だった。


ガサッと物音がして、あたしたちは振り向いた。


校舎へ向かう通路に人影が見える。


「誰だ!?」


男が声を上げると、その人影はビクリと震えて動きを止めた。


その顔には見覚えがあった。


同じクラスの大森優里だ。


公恵と仲がいいが、イジメに加担したことはない。


公恵がイジメをしていることも知らないかもしれない。