ハッと気が付いた時にはもう遅い。


目の前に彩美の顔があった。


「あ、彩美!!」


咄嗟に名前を呼ぶ。


しかし彩美は口からヨダレをたらしながら雄たけびを上げている。


「やめて、彩美!!」


シラフのままバトルに勝てばあたしは生きてここから出られる。


ここで負けるわけにはいかない。


こんな……化け物に負けるわけには……!!


あたしは彩美の首に手を回した。


そのまま力付くで締め上げていく。


彩美の顔が徐々に青くなっていく。


それでも彩美はあたしの腹部に拳を当てて来た。


咄嗟に手の力が緩む。


瞬間、彩美があたしの体を蹴り上げた。


後ろの壁と彩美の足に挟まれる形になり、肋骨が折れる音が体内から響いてくる。


意識が朦朧する中、あたしはもう一度彩美の首を締め上げた。


彩美が泡を吹き、白目をむいて倒れ込む。


それを見た次の瞬間、加奈ちゃんの足があたしの顔面を踏みつけて、あたしは完全に意識を失ってしまったのだった……。