宮田君が山田君に馬乗りになって数分間が経過していた。


山田君は今田に攻撃を見せない。


同じように煙を吸っているはずなのに、わずかな理性で自分を保っているように見えた。


だけど、それは逆効果だ。


死ぬまで続く戦いで理性を飛ばせない状態でいると、負ける確率を上げるだけだ。


できるだけ多くの煙を吸い込み、自分を忘れる。


それがこの戦いで勝つための方法だ。


宮田君が山田君の顔面を殴りつけ、山田君の鼻から血が出た。


瞬間、山田君の目つきが変わった事を見逃さなかった。


思わず身を乗り出して行方を見守る。


山田君が片手で宮田君の体を押しのけると、拳を握りしめた。


その拳の大きさにあたしは唖然としてしまう。


宮田君の倍くらいはあるかもしれない。


腕の筋肉も盛り上がっていて、比べ物にならない。


「おおおおおお!!」


山田君が雄たけびを上げながら宮田君に拳をぶつけた。


山田君の拳が宮田君の顔に直撃した瞬間、宮田君の首からゴキッと音が鳴るのを聞いた。


宮田君はほぼ90度横を向いたまま目を見開き、そして倒れた。