部屋に入り、バキバキ指を鳴らして舌なめずりをしているのが見えた。


まるで戦いを待っていたかのような仕草だ。


「さすがだな酒本」


中尾君がニヤニヤと笑いながらそう言った。


酒本君はチラリと中尾君へ視線を向けただけで、何も言わなかった。


酒本君以外は全員怯えた表情を浮かべていて、原田君はずっとうつむいたまま顔をあげようともしなかった。


普通なら、真っ先に原田君が犠牲になるだろう。


あたしは唾を飲み込み、部屋の様子を観察した。


煙が充満し、みんなの理性が失われていく。


酒本君は思いっきり煙を吸い込んでいるのがわかった。


これなら完全に理性を失ってバトルすることができるだろう。


でも……。


あたしは天井を見上げた。


どこかに隠されているカメラが必ずある。


それを探すが、やはり見つける事はできなかった。