「彩美、あたし課題はちゃんとやってきたよ」


そう言うと、彩美は周囲を探す手を止めて顔を上げた。


驚いた顔をしている。


「本当に?」


「うん。だから、ノートを探す必要はないから」


そう言うと彩美は一瞬嬉しそうな表情を浮かべ、すぐに俯いた。


「なんだ……じゃぁあたしは必要なかったんだね」


小さな声で呟くようにそう言う彩美。


「彩美、しっかりしてよ」


加奈ちゃんが見かねたようにそう声をかけた。


しかし彩美は反応しない。


うずくまり、またブツブツと何かを呟き始めてしまった。


「このまま次のバトルに呼ばれたらどうなるんだろう……」


加奈ちゃんが不安そうな表情でそう言った。


あたしはその質問に返事ができなかった。


このまま呼ばれれば、きっと彩美は死んでしまう。


それがわかっていたから、あたしは彩美から視線をそらせたのだった。