☆☆☆

うっすらと覚えていた事がある。


目の前で血が飛び散って、人の叫び声が聞こえてきていた。


あたしは自分の胸から火が出ているような感覚で、目の前に手を伸ばした。


手に触れたそれがなんなのか理解できないまま、ただひたすらに攻撃していた。


なにかがあたしの体に当たったような感覚があったけれど、痛みなんて感じなかった。


ただ体中が熱くて叫んでも叫んでも足りなくて、涙が出るほどの快楽を覚えていた……。


ふと気が付けば、あたしは透明な部屋の中にいた。


自分の手に視線を落とすと血が付いている。


部屋の床も壁も血まみれになっていて、未咲ちゃんが倒れているのが見えた。


歩み寄ろうとしたけれど、その目から眼球が零れ落ちているのが見えて足を止めた。


どうやら未咲ちゃんは死んでしまったようだ。


……なんで?


頭が全くついて行かない。


そんなあたし1人置き去りにするように、マキヤが晴斗君へ攻撃を始めていた。


それを見てハッと我に返る。


そうだ、殺し合いの途中だったんだ。


未咲ちゃんは死んだ。


次は晴斗君を殺す番なんだ。


そう思うと、咄嗟に体が動いて晴斗君の両腕を掴んでいた。