「じゃぁ、なんで中尾君が……?」


あたしがそう聞くと


「あぁ? そんな決まってるだろ、上履き代せびってるときに邪魔しやがったんだ」


と、酒本君は言った。


「チビのくせに正義感振りかざしやがって! むかつくんだよ!」


そう言う酒本君の幼稚さにあたしは心底嫌気がさして来た。


公恵の次に死ぬのはこの男だ。


「なぁ中尾、お前が死ねよ」


酒本君が背筋が凍るような一言を言い放った。


体育館中に冷たい空気が流れて行くようだ。


本当にどちらかが死ななければならない状況でそんな事が言えるなんて、信じられなかった。


中尾君がゆっくりと酒本君を見る。


その表情はなにも読み取れないくらいに冷たかった。


「中尾、俺は大丈夫だから」


薮木君がそう言い、笑顔を浮かべた。


もう攻撃する気がないのか、その場に胡坐をかいて座る。