声にできない“アイシテル”

 棒立ちの私を見て、アキ君が口元だけでクスリと笑った。

「俺がチカを探していた理由、本当に分からない?」


―――そんなの、分からないよ…。

 私は答えられず、小さくうなずくだけ。


 ここにいていいのか。

 それとも、逃げ出した方がいいのか。


 それすらも分からない。


 困った顔でアキ君を見上げていると、彼は1歩前に出た。

「…じゃぁ、教えてあげる」


 そう言ってアキ君は腕を伸ばし、私をそっと抱きしめた。



「会いたかった」



―――…え?

 今のは都合の良い聞き間違いだろうか。


―――『会いたかった』って言った?


 そんなはずはない。


 私はそんな事を言ってもらえるような人間じゃない。

 彼に憎まれることはあっても、会いたいと思ってもらえるような人間じゃない。