結局、チカに会えないまま1ヶ月が経ってしまった。


 あの時に見た夢が、時折チラチラと浮かんでくる。


 それを振り払おうと、懸命に探すけど。

 虚しく時間だけが過ぎてゆく。



「チカ、どこにいるんだよ…」

 ホテルのベッドの上でうなるようにつぶやいた。

―――チカが心配するようなことは、もう何一つないのに。


 彼女さえ見つかれば、すべてがうまくいく。

 なのに、肝心のチカがどうしても探し出せない。


「くそっ」

 バフン、と大きく寝返りを打った。


 そこで枕もとの時計が目に入る。

 時刻は10:40.


「いけねっ。
 今日はトオルさんと会う予定があったんだ!」

 あわててベッドを飛び出し、出かける準備大急ぎで始めた。