声にできない“アイシテル”

 もちろん、援助してくれた人のおかげでもあるけど。

 トオルさんの努力と、私への想いが、この人工声帯を作り上げた。


 改めて、彼の気持ちに感謝する。



「さぁ、始めましょうか」

 執刀医の言葉で、私は麻酔をかけられた。



 ノドを10センチほど縦に切り、人工声帯を埋め込む。

 手術痕は最新の皮膚移植技術によって、間近で見ても分からないほど綺麗に隠してくれた。

 これも形成外科の一部らしい。



 それが今から3週間前。


 術後の経過は順調で。

 今はリハビリに励む毎日だ。


 もともと話すことは出来ていたから、声を出すことはそんなに難しくない。


 時々かすれることもあるけれど。

「この調子なら、思ったより退院は早そうだね」

 リハビリの先生がにっこりと笑った。