「本当?」

 ベッド脇の小さなテーブルにお盆を載せたお兄ちゃんが、私のおでこにそっと手を当てる。

「うん。
 これなら大丈夫だ」

 お兄ちゃんはにっこりと笑った。


 今までと変わらない態度に、私はホッとする。

 だけど、やっぱり昨日の話は夢や冗談ではなくって。


「朝ごはん、食べてね。
 ・・・それから、話をしよう」


 お兄ちゃんの目は優しい。

 だけど、そこに浮かぶのは強い光。


―――聞かなかったことには出来ないよね。


“分かった”

 わたしはうなずく。


「リビングでレポートをまとめてるよ。
 ゆっくり食べていいからね」

“うん”


 私がサンドイッチを口にしたのを見て、お兄ちゃんが安心したように目を細める。。

「食べられるだけでいいから。
 無理しないで」


 そう言い残して、お兄ちゃんは部屋を出て行った。