ゆっくりと目を開ける。

 視界に入ってきたのは白い天井。


―――なんだ、ここは?

 体を起こそうとするが、色々な機械やチューブにつながれていて身動きが取れない。


―――病院・・・?!
 チカを迎えにイギリスに行った俺が、どうしてこんな所にいるんだ?


 視線だけで室内を見回す。

 すると静かに扉が開いて、誰かが入ってきた。


「気がついたんですね」

 看護士の男性が声をかけてくる。


「あの・・・。
 どうして俺はここにいるんですか?」

 起き上がることが出来ない俺は首を少し動かして、問いかける。


 すると、その看護士は俺のことを気の毒そうな目で見た。

「桜井さんはイギリスでテロに巻き込まれて、記憶喪失になったんですよ。
 なので、日本のこの病院で手術をしたんです」