沈黙だけが流れる病室。


 アキ君は何も言わず、表情もないままぼんやりと私を見ている。

 突然のことにどうすることも出来ず、私もぼんやりと彼を見る。


 2年ぶりに会ったアキ君。

 顔や手に擦り傷がたくさんあるけど、相変わらずかっこいいままだ。


 仕事が大変なんだろうか。

 少しやせたみたい。



 夢にまで見た彼との再会。

 だけど、私は嬉しいと思うよりも『早く逃げなくては』という気持ちで一杯だった。


 くるり、と背を向け、ドアノブに手をかける。


「あっ!」


 アキ君が短く声を上げたけど、私は扉を開けて病室を飛び出した。