“トオルお兄ちゃん!
 どうしてここに!?”

「この格好、見てわかんない?」


 お兄ちゃんは良く見るタイプの白衣と救急箱を手にしていた。


 ああ、そうだ。

 お医者さんになったんだっけ。


 でも、研究したいことがあるからって、アメリカに行ってたはず。
 

 私が首をかしげていると、答えが返ってきた。

「学会がこの近くであってね。
 事故のニュースを聞いて、手伝いに来たって訳。
 ・・・おっと、いろいろ話したいけど今は治療が優先だな」


 お兄ちゃんはもう一度私の頭をなでて、ケガ人のところに走っていった。