俺は必死で仕事をこなし、専務でありながらも社長同等の権限が振るえるほどに地位を高めていった。

 もちろん、どんなに仕事に没頭してもチカへの想いは消えることはない。


 早く探しに行きたいと焦る気持ちを抑えて、計画を進める。

 叔父さんや叔母さんにバレないように、慎重に。






 ある日、本社の廊下で今井さんに会った。

 彼女は2週間ほどイギリス支社へ出張だったと聞いている。


「視察、ご苦労様」


 俺が声をかけると、今井さんはさっと周りの様子を伺う。

「あの・・・。
 この写真、見ていただけます?」

 小声でひそひそと話し、手帳にはさんでいた一枚の写真を差し出してきた。