書類に目を通し終えた叔父さんが社長印を押し、そして俺を見る。

「お前の今日の業務はこれで終わりだ。
 理沙子が“ご馳走を作る”と言って早退したから、早速顔を出したらどうだ?」


「いや。
 叔母さんには悪いけど、チカと会う約束をしているんだ。
 食事は彼女ととるから」


 とたんに叔父さんは眉をひそめる。

 でも、特に何も言ってこない。


 これまでは『彼女に会うな、別れろ』とばかり言ってきたのに。


 疲れている俺に気を遣ったのだろうか?





「そうか。
 なら、晃からそのことを家に連絡しておけ」


「分かった・・・」



 なんとなくすっきりしない気分で社長室を出た。