―――ああっ、やっぱりダメ!!

 落ちかけたリングをとっさにつかむ。


―――無理だよ。
   捨てられない・・・。

 その場にへたり込んで、両手でリングを包み込む。



 リングだけじゃない。

 彼に関する何もかもがまだしっかりと私の中にあって。

 捨てることなんて、できやしない。



『彼とはもう二度と会わない』

 叔母様に伝えた言葉を覆すことはしない。



―――だから、せめてこのリングだけは持っていてもいいよね・・・?


 往生際の悪い自分に苦笑い。



 私は元の位置にリングをはめた。