目の前に置かれた果物を見て、どうしてだか今日知り合ったばかりの小山のイトコだという少女の顔が浮かんだ。


 桃のように淡いピンクに頬を染めていた少女。

 照れすぎると、熟した苺のように赤くなったあの少女のことだ。


 

―――なんで、思い出したんだ?


 コーヒーカップを持ったまま、果物をじっと見つめてしまう。



「どうしたんだ、晃」

「もしかして、嫌いだった?」

 固まっている俺に、伯父さんと伯母さんが不思議そうに尋ねてくる。


「・・・え?
 あ、その、嫌いじゃないけど。
 もうお腹いっぱいだから」


 がたがたと音を立てて、イスから立ち上がる。

「俺、部屋に戻るよ。
 ごちそうさまっ」


 2人とは顔を合わせないようにして、テーブルを離れた。




 そんな俺を伯父さんと伯母さんが目を見合わせてくすくすと笑っていた。