声にできない“アイシテル”

「えと、そんなつもりじゃ・・・」

 すっかり勢いに飲まれて、俺はしどろもどろだ。


「じゃぁ、どんなつもりなんです?!
 自分の気持ちを言葉にしてくれれば、相手は誰でもいいって言うんですかっ?」


「そうじゃなくて、あの・・・」
 

「なら訊きますけど。
 チカさんに“愛してる”と言って欲しいとのことですが、桜井さんは全力で彼女を愛せていますか?
 すねて連絡を絶っているくせに、自分の要求は通そうだなんて。
 そんなの自分勝手だと思いませんか?!」


 今井さんは起き抜けだというのに、はっきりとした口調でガンガン俺に説教をぶつけてくる。


「恋愛ってバランスが大事なんですよ!
 自分が全力で愛せていないのに、全力の愛をもらおうだなんて。
 そんなの勝手すぎます!!」

 バンッ、と両手をベッドにたたきつける今井さん。


 あまりの勢いに、俺は口が挟めない。


「それから!!
 無意識で名前を呼ぶくせに。
 あんなに愛しそうに髪に触れてくるくせに。
 チカさんを忘れられるんですか?!」

 
 下からねめつけるようににらまれて、俺は少し後ずさりする。