声にできない“アイシテル”

「そうだったんだ・・・」

 俺はほっと安堵のため息。




「それにしても」

 今井さんは打って変わって、厳しい顔つきになった。


「こんなにもチカさんを愛しているのに、どうして“うまくいってない”と言うんですか?」


「まぁ、それは・・・。
 実は、彼女は病気が原因で声帯を取り除いたんだ。
 それを承知で付き合ったんだけどさ」

 ふぅ、と息を吐きながら天井を見上げる。

「やっぱり声に出して“愛してる”って言って欲しくて。
 俺たち以外の恋人同士なら、そんなこと当たり前に出来ているわけで。
 そう考えたら、彼女と距離を置きたくなった」


 はぁぁ・・・。


 と、大きなため息をついたのは、俺じゃなくて今井さんだった。


「何甘ったれたことを言ってんですか?」

 もう1度ため息をついた彼女が、真正面からにらんでくる。


 どうして自分がにらまれるのか、意味が分からない。

「あ、その・・・。
 今井さん?」


「何で形にとらわれるんですか?
 “愛してる”って言葉にしてもらわないと、自分が愛されていないとでも?」


 淡々と告げる口調だけど、怒っているのが分かった。