「え?」

 聞きなれない声に驚いて彼女を見ると、真剣な瞳で俺を見ている。


「本気でそう思っています」

「あの・・・、今井さん?」


 卓上に置かれたキャンドルの炎が揺れる瞳で、俺を見つめている。

「さっきのメール、彼女からですか?」


「あ、まぁね」


「・・・私だったら、桜井さんにあんなつらそうな顔はさせません」

 静かな声で。

 でも、はっきりと言ってくる。


「私じゃダメですか・・・?」


 ユラユラと明かりが揺れる彼女の瞳。

 それにシンクロして、揺れる俺の心。



 言葉もなく今井さんを見つめていると、カウンターに載せていた俺の手を彼女がつかんできた。

「好きなんです」






 俺はグラスに残っていた酒を飲み干し、追加で注文したウイスキーのストレートを一気にあおった。

 そして今井さんの手をとって店を出る。



 俺たちはホテル街へと姿を消した。