食事の後に夜景を見て、少しのんびりしてから彼女を家へと送る。


“今日はアキ君の誕生日なのに、私のほうが楽しんでたかも”

「いいんだよ。
 チカの笑顔が最高のプレゼントだから」

“もう。
 ホテルで働くようになってから、口がうまくなったよねぇ”

「そんなことないって」


 チカの家の玄関先に車を止め、降りたところでいつものように少し立ち話。


 そこに隣の家から人が出てきた。


「あれ?
 チカちゃん?」

 俺より5歳は年上だろうか。

 落ち着いた雰囲気の男の人が彼女を呼んだ。



 チカはその人をじっと見つめて、首をかしげている。


―――やけに親しげだな?

 俺は少しだけ警戒して、そっとチカの横に立った。