食事はとても楽しい雰囲気。

 叔父さんも叔母さんもサービス業に関わる人だから、どんなお客にも対応できるようにと手話を習得していた。

 だからチカとの会話も問題なし。


 最初は緊張していたチカだったけど。

 時間が経つにつれて、いつもの元気な彼女になってゆく。


―――叔父さん、叔母さん、よく見て。
   俺を変えてくれたチカは、こんなに素敵な女の子なんだよ。


 3人の会話の様子を、俺はそっと見守っていた。







 ケーキを食べ終え、俺は自分の部屋にチカを連れて行く。

「適当に座って」



 そう言うと、チカは床においてあった大きなクッションに腰を下ろす。

 そして小さなため息。


「疲れた?」


“少しね”

 チカが苦笑を返してくる。

“だって、アキ君のお家すごく立派なんだもん。
 落ち着かないよ”


 近くにあった小さめのクッションに手を伸ばし、それをぎゅっと抱きしめるチカ。