チカの家の前では彼女の母親が立っていた。


「チカッ!」

 姿を見かけてこちらに駆け寄ってくる。

「遅いから心配したのよっ。
 ・・・あら?」

 娘の隣にいる見慣れない男にお母さんが驚く。


 俺はペコリと頭を下げた。

「こんばんは。
 その、えと・・・、チカさんと同じ高校の桜井と申します」

「はぁ・・・」

 どうして俺が一緒にいるのか分からず、不思議そうな顔をして見ている。


「公園で彼女が困った事態になっていたので、駆けつけたんです。
 すっかり暗くなったので、家まで送ろうということでここまで来ました」


 お母さんはチカを見る。

 チカは俺の話通りだという意味で大きくうなずいた。