チカははめられたリングを大事そうに眺めて、指先でそっとなでている。


「そんなに嬉しい?」

 尋ねると、縦に大きくうなずく。


「ならよかった。
 叔母さんに相談して正解だったよ」


 チカが俺にメモを渡す。

“アキ君、顔つきがすごく変わった。
 前に叔父さんと叔母さんの話をした時よりも、表情が柔らかいよ”
 

「そう?
 俺が変わったのはチカのおかげだよ」

“私?”

「うん。
 チカといると“言葉を信じてもいいんじゃないか”って思えるんだ。
 最近、そう思えるようになった。
 だから、少しずつだけど叔父さんたちに甘えられるようになったし」


 チカが俺の話を聞いて、少し不思議そうに首をかしげる。

“最近って、どういうこと?”




 彼女の素直な瞳に、俺はこれまで誰にも打ち明けたことのない話を始めた。