「桜井。
 これまでとはぜんぜん違うな」

 いそいそと帰り支度をしている俺を見て、小山があきれたように言ってくる。


「そうか?
 ・・・どうだろ、自分じゃ分かんねぇけど」

「別人だよ、別人。
 いつも楽しそうだしさぁ」

「まぁ、楽しいのは当たってるよ。
 実際楽しいし」

「はいはい。
 ノロケてないで、早くチカちゃんのところに行ってあげれば?」

「なんだよ。
 お前から話しかけてきたくせに」


 ペンケースをカバンに突っ込んで、俺は席を立つ。


「じゃぁな。
 俺、待ち合わせしてるから」

「ああ。
 チカちゃんによろしくな」


 小山と軽く手を振り合って、教室を出た。