声にできない“アイシテル”

 掃除の時間。

 小山と焼却炉に向かっている途中、前の方にあの子がいた。


 案の定、小山は駆け寄ってゆく。

「チカちゃんも焼却炉に行くの?」


 奴の言葉にニコッと笑い、俺には軽く頭を下げてくれる。


 さらりと揺れた彼女の髪に白いものがついていることに気がついた。

 俺は手を伸ばし、ついていた糸を取ってあげる。

「チカちゃん、糸がついてたよ」


 とたんに彼女は顔を真っ赤にし、持っていたゴミ箱を落としてしまった。


「うわぁっ」

 それを見た小山があわてて、散らばったごみをかき集める。


 彼女は俺を見て口をパクパクさせながら、手を振り回している。


 俺は彼女にジッと見られて、軽く焦る。 



―――この子は何でこんなに驚いているんだ?