声を使う仕事が無理なら、声を使わない仕事を探せばいい。

 じゃあ、恋の代わりは?


 仕事の代わりはあるけど、恋の変わりはないから。



 それに気がついた私は、いつの間にか恋愛小説を手に取ることすらしなくなっていた。


 最後には大好きな人と幸せを掴む主人公を見るのがつらい。




―――こんな私を好きになってくれる人なんて、いないもん。







 長い夏休みが終って、明日からは学校が始まるという夜。


 私は、真っ暗になった部屋で、長い長いため息をついた。