全てを!


「て、哲さん‼」

ん?

リビングのソファで寝転んでいた彼は、読んでいた本から首だけを上げた。

「どうしたアマネ。風呂上がりか」

バスタオルだけを纏った私の姿を見て、彼はキョトンとした。

「わ、私…今日で23になりました」
「ああ、おめでとさん」

彼はまた読んでいた本に目を戻した。

「じゃなくて‼
ここまで大きくしてくれたのは…ほかでもない、霧生哲成、そう!あなたさまのお陰です」

「………?」

「だ、だからっ…」

私はハラリと身体を覆ったバスタオルを落とした。
生まれたままの姿を露に、男の眼前に曝す。

「哲さん、私の全てを……う、受け取って下さ~~い‼」

ひしっ。
 
感極まって、身じろぎひとつしない男の首に抱きついた。

「アマネ……」

バサッと彼が読んでいた本が床に落ちる音がした。

素肌の腰を、男は自分の側に引き寄せる。と思うと、クルリと身体を反転させ、私をソファに寝かせた。