ガタンゴトン、というよりは、ダダンダダンッと言っている気が私にはする。
確かにいつもいつもニコニコして眺めたり乗れる訳じゃない。
信じてもらえないかもしれないが時には貞子みたいな顔をして乗る。
けれど向かい合わせになった長椅子をぐるーっと観察すると、足の悪いおばあちゃん、泣く赤ちゃんを必死であやすお母さん、クタクタになって立ちながら眠る学生、電車の中でもなお資料に目を通すサラリーマン、ヘルパーさんに連れられる白杖のお兄さん、塾に1人で通うために揺られる小さい子、スーツの襟を鏡でピシッと確認するOL、そして、そんなみんなを乗せて電車を走らせる運転手さんと安全を守る車掌さん。
みんな全然違ってて、多分全く違うことを考えてて、全く交わらない悩みを持ってて、だけど今確かにここにいて、同じ電車の同じ車両に乗って、同じ方向へ向かってる。
そう気づいてから見る窓の景色は格別で、心がどこか温まるのだ。