「ひとつだけ、その筆を使うときに用心しなければいけないことがある。いいか決して自分の顔を書くんじゃないぞ」 「どうしてですか?」 「その筆と若い才能が融合すれば成功することは約束されたようなもの。近い将来君は成功するかもしれない。ただ筆を使った代償を払うことも覚悟しないといけないぞ」 「代償?」 「そうだ。自画像を描くときこそ代償を払わされることになる。なに心配することはない。その筆とワシは一心同体だから君がその筆で自画像を描くとき、ワシが最後の選択を聞きに訪れるだろう」