【短編集】その玉手箱は食べれません



「彼は人気者になるために嘘の都市伝説をつくりあげていったんだ」


「他には?」


「そうだなぁ~一番怖かった話はSL公園の話かな」

 ウエイトレスのおねだりにマスターは破顔して応えた。


「SL公園?隣町の蒸気機関車がある公園のことですか?」


「そう。サッカーグラウンドみたく芝生がきれいにカットされて丸太で造った遊具が並んでいるあの公園だよ。片隅に古ぼけたSLが置いてあって唯一暗いイメージを背負ってるけどね」


「私も何度か行ったことありますよ」