【短編集】その玉手箱は食べれません



「まさか人間みたいにショック死するなんて知らなかったんだ」

 おれの反論は言い訳にしか聞こえていないと思った。最初の議論に差し戻しただけで担当医を説き伏せる効果なんてなかった。


「もう一度言いますがオヤジ7号はこれまでにない人間に近い製品です。ですから人間のように病気になることもあるし、自殺することだってありえる。アクシデントはつきものなんです。ただ……」

 担当医は意味ありげに言葉を切った。


「ただ、なんだ?」

 おれは急かした。ひょっとしたら謝罪してくれるのではないかと甘い考えが過ぎった。