【短編集】その玉手箱は食べれません



「先生にため口を使う生徒は水攻めの刑がよく似合う。でもまぁ、バーローと言われなかっただけマシか……フフッ……」

僕は誰も居なくなった校舎の窓からプールを眺める。

第一発見者になれば疑われるので、ここは我慢のしどころ。

警察の罠かもしれないし。

でも、前に赴任していた隣町の学校でそれほど深くない水たまりで起こった水死をいまだに事件ではなく、事故扱いして、先にうちの学校の元生徒が犯人に目星をつけるくらいなのだから、心配することはない。

本当に無能すぎる。

僕はニヤニヤしながら教室を出た。

すると物音が聞こえた。

それほど大きくないが、校舎内に響き渡り、さすがに視線が向いてしまう。

サッカーボールが転がり、近くにあるバケツも横に転がって水がこぼれていた。

誰かがサッカーボールを蹴って、わざとバケツに当てて水をぶちまけたのは確実。

「誰かいるのか?」と声をかけたが応答なし。

怖がらせるつもりなのか?

頭に浮かんだのは宮西さん。

彼女は佐竹君から自分達の担任が殺人犯であることを教えている可能性がある。

「復讐のつもりかよ」
嘲笑する笑い声が歯の隙間からもれそうになる。