【短編集】その玉手箱は食べれません



「世界で最初のエレベーターを展示している資料博物館が経営難でオークションにかけた部品をセリ落としたものをこのエレベーターに使っている。そして、世界ではじめてエレベーターを造った人物の名はアルキメデス」


『ようやく自分の名前がわかってうれしい、と言いたいところだが、結局はおまえがつけた名前だ』


「由緒正しい名前だぞ」


『おまえごときがつけた名前でおれ様が喜ぶと思うのか?』


「ふふ……」と鼻で笑ってから男が言った。「君はアルキメデスという名前に反応したじゃないか」


『己の存在理由の根源を知りたいと思うのは自然なことだろ。おれ様は何者なのかと長年悩み続けてきたんだ』