【短編集】その玉手箱は食べれません



「“上半身だけの男”に出会ったら覚悟したほうがいいぞ」


 なんだ、コイツ?と思いながらおれ様は男の後頭部を見詰めた。


14……15……16……17……18……19……20……


「なにも反応がないということはビビってるのか?時間はたっぷりあるんだからじっくり追求してやる!」

 男は顔をやや斜め上に傾けておれ様を見た。目は充血している。


「このエレベーターを建設するためにいったいどれだけの犠牲を払ってきたことか……なぁ、お前にわかるか?」

 男が喋っている間もおれは上昇を続け、階数表示板の数字はどんどん増えていく。