【短編集】その玉手箱は食べれません



「おれが受け取ると思うのか?」

 おれは蔑んだ視線を元カノにぶつけた。


「受け取るまでここから出してあげないわよ。永遠に待つ覚悟はできてるから」

 元カノは本気だ。頬や口の筋肉を緩めているが、目は笑っていない。断固とした歪んだ決意を潜めている。


「降参だ。参ったよ」

 おれは小刻みに首を振った。


「結婚してくれるの?」

 元カノが目を輝かせて訊いてくる。


「踏ん切りがついた」と言いながらおれはコンクリートの破片を拾った。形は細長く先端が尖っている。