【短編集】その玉手箱は食べれません



 その日を境におれは元カノとの接触を避けた。


 電話とメールは拒否、居留守を繰り返してきた結果、半年振りの再会が地下室だなんて……。


「さぁ、どっちを選ぶの?」

 元カノは懲りずにまた両手を出した。


「おれから見てライト」

 おれは折れて、答えた。


「おめでとう!正解よ!」

 元カノはうれしそうに拳を開いた。手のひらにはなだらかな曲線でシンプルなデザインの結婚指輪がのっていた。


 確かに絶望という言葉が相応しい。