近くで見るとやっぱり平気じゃない。

目尻が赤い。

メイクでうまくごまかしてるつもりなんだろうけど、なんとなく分かってしまう。

まぁ、俺らみたいに普段の彼女を見慣れていない人間なら気づかないだろうけど。


「今日は珍しく早く外回りが終わってさ。
そっちももう終わり?」

「うん。ほぼ定時かなー。」

「そっか。


………あのさ、金曜の夜だし、飯でも行かない?」


全くもって深い意味なんかなく。

これまで一度も2人で食事したことなんてないのに。

ついうっかり誘ってしまっていた。