夏が終わる頃、彼女がラブラブな彼氏に浮気されたらしいって噂が聞こえてきた。

オフィスで見かけた彼女は見るからに弱っていて。

目の下にクマっぽいのができてるし。

元々細い身体が、ひと回り小さくなった気がする。

覇気の感じられない彼女に、なんとなくだけど

「よ。」

と声を掛ける。


その先に何か要件があるわけじゃないのに、
どうすんだ、と内心少し焦る。

声を掛けられたことに気がついた彼女は案外平気そうにニコリと笑って、

「あれ、珍しいね。今日は外回りじゃないの?」

と返事を返してくれた。