**-- Seventeen --**



病院のベッドに入ってまず思ったのは、そんなことだった。


もう仕事をしたり家事をしなくてもよくなったワタシは、考える時間だけはいっぱいあったから。


人を想う時間だけは、たっぷりあったから。


それに、自分のことを考えるより人のことを考えたほうが“いい時間”を過ごせそうな気がする。


ワタシの勝手な考えだけど、そう思うと気持ちが楽になるから。


だからワタシはこれから何かを考えるときは人を想うことにした。


直貴との“いつか”の約束はもう実現できないけど、それもワタシらしくていいんじゃないかと思っている。


直貴は、今度からは好きになった誰かのために“いつか”を実現すればいい。


死に際まで一緒にいられても、ワタシだって困るし直貴だって困るもの。


遠くからそっと想うだけでいい。


軌道修正は、環境が変わったこともあってなかなか順調だった。徐々にではあるけど気持ちに整理がつきはじめていた。


だからあのノートにもワタシはそう書いた。