空を祈る紙ヒコーキ


 気後れする私にかまわず、二人はどんどん話を進めていった。

「涼は作詞担当。俺はギター。愛大ちゃんは何やりたい?」

「キーボード希望です」

「よし。これでおおかた決まったな。後はボーカルが揃えば一バンドとして動けるんだけど、なかなか希望者が現れなくて……」

「それなら涼がいいと思います」

 置いてけぼりになりそうなところでやっと追いついたと思ったら、今度は愛大の言葉に面食らうはめになった。

「ちょ、何で私!? 詩だけならまだいいけどボーカルなんて無理だって!」

「そんなことないよ。ほらこれ」
 
 愛大はブレザーの胸ポケットから素早くスマホを取り出し、画面を空に見せた。そこには私のツイッターのプロフィールが表示されている。

「趣味はカラオケ。『流行りの曲は一応歌えます』って書いてある」

「それはほとんど嘘なんだよ、嘘!」

 春休みツイッターで友達作りをしていた時、知らない人とのやり取りを盛り上げるキッカケになればいいと思って少しおおげさにプロフィール欄を書いた。

 小学生の時の経験だ。おとなしい人と思われたら損するし敬遠される。友達なんかできない。だから誰もが好きそうなことを趣味だと書いた。簡単に友達を作りたかった。狙い通り、カラオケの話題で何人かのフォロワーと盛り上がることができた(結局その努力は無駄に終わったわけだけど今は愛大がいるからもういい)。

「カラオケボックスなんて片手で数えられる程度しか行ったことない。私に期待されても困る……!」