空を祈る紙ヒコーキ


 もうすぐ四月も終わる。そんな中途半端な時期に入部希望と言われたっていまいち信じられなかったのかもしれない。入部を強く希望する愛大に対し空は慎重な様子だった。

「ずっと入部を迷ってたんです。アタシも中学の頃は別の友達とバンド組んでて楽しかったから高校でも絶対バンドやりたいって思ってて」

 そうだったんだ……。愛大がそこまでバンド仲間に思い入れがあったなんて知らなかった。言われてみればそういうものかもしれない。

 そういう経験のない私にはあまり理解できないけど、愛大が他の仲間と楽しんでいた姿を想像するのは簡単だったし胸が痛くなった。少し寂しい。

「ああ! どおりで!」

 空は突然テンションを上げる。

「見覚えある顔なわけだ。去年まだここにいたバンド仲間と一緒に君達のライブ行ったんだよ。ツイッターでもしょっちゅう宣伝してた」

「ホントですか!? 嬉しい!」

「こっちもいい刺激になったよ。男には創れない女性らしい繊細な曲だった」

「ありがとうございます。でも、高校は高校のバンドで中学の時とは違うし、別れたバンド仲間に未練もあって……。気持ちが吹っ切れたのも最近で……。でも、コレ見て、振り返ってばかりじゃダメだって思ったんです。見て下さい」

 そう言い愛大はカバンの中に手を突っ込み、さっき私からひったくっていった歴史のプリントを取り出した。

「ちょ、愛大、それは……!」

「すごいんです。涼の詩で曲を作って、生徒会長と三人で演奏したいんです!」

 私が止めるのも聞かず、二人は勝手に打ち合わせモードに入った。空はテスト用紙の裏に書かれた私の詩を見て息を飲んだ。

「涼、こういうの書くんだ……?」

「勉強の合間の暇つぶしだよ。愛大は大げさに褒めてるけどそんなのを曲にしたら本物の歌手に失礼だよ」

「そんなことない。すごいよこれは!」

 空まで褒めてくる。二人とも大げさだ。