空を祈る紙ヒコーキ


「アミルー、コレが例のコ?」

 アミルの友達が私を見てクスクスと笑った。知らない人にいきなりそんな言動を取られムカついた。きっと私のことでアミルに何か吹き込まれているんだろう。

「私帰るよ。家の手伝いあるの忘れてた」

 アミルにも嘘をつき、さっさとその場を後にした。

「そうー? まあいっけど。この子らに涼を見せたかっただけだし」

 それだけ言い、アミルは私を引き止めることはなかった。見世物にするためだけに呼び出してきたんだ。

 前からそう。アミルはことあるごとに私を小馬鹿にしてくる。

 決して気が合うとは言えない仲なのに、彼女はなぜか学校にいると私に絡んでくる。他にも友達がいるのに私にばかりかまう。外見的にも人気的にも自分より下な私をそばに置くことで優越感に浸っているんだと思う。

 アミルとは正直もう関わりたくない。でも同じクラスだとしゃべらないでいるのは無理だ。無視するともっと面倒なことになるに決まっている。

 それに、そんな女子でもそばにいてくれるだけマシだった。男子ならまだしも、単独行動している女子は学校で浮く。私はもう一人になりたくなかった。


 早く高校生になって今の生活を変えたい。周りを変えたい。

 中学を卒業すればアミルとは離れられる。それだけが今の小さな希望だった。

 アミルは勉強が嫌いで成績も悪いから高校は別になる。私さえ今の成績を維持すれば大丈夫。


 ……勉強を頑張る理由はそれだけじゃなかった。

 親みたいになりたくない。昔からそう思っていた。成績の維持は学校で迫害されないための手段。そしてお母さんに認めてもらうための方法。