私達は窓際のテーブル席に案内された。空と私はお母さん達夫婦と向かい合う形で座った。広々とした店内には上品な琴の音色が流れていて、風流という言葉が一番ふさわしい気がした。
家でもこのメンバーで食事をしているけど、おしゃべりな暁がいないだけで気まずく誘われた時は正直気が進まなかった。私は暁みたいに人懐っこくないし気も利かない。それに夏原さんに打ち解けてもいない。でも、そんな心配はいらなかった。
元々そうだったのか、夏原さんと空は絶えず日常のことを話したり一皿一皿お寿司の感想を言い合ったり、たまに変なことを言って笑ったりしている。お母さんと私が築いた親子関係とはだいぶ違うみたいだ。おかげで私は気を遣ってしゃべる必要もなく食べることに集中できた。
お腹がいっぱいになり熱い緑茶を飲んでいると、お母さんが眉間にシワを寄せて私を見た。私はとっさに目をそらし湯のみに視線を落とす。お母さんがこういう顔をするのは過剰な干渉をする時だと決まっている。
「さっきから言おうと思ってたんだけどさっきしゃべってた子は誰? 同じ中学にあんな子いた?」
愛大のことを言っているらしい。愛大とバイバイする少し前から、お母さんと夏原さんは遠くにいる私に気付き手を振っていたらしい。
「同じクラスになった子だよ。中学は違う」
「あーよかった」
「何が?」
無遠慮に安堵するお母さんにイラッとした。それまで和やかに話していた夏原さんと空がピタリと会話をやめ私達を見る。
「だって、あんな派手な子、涼には合わないじゃない。高校生になったとはいえ友達は選ばないと。将来の邪魔になるような子とは付き合わないようにね。分かった?」
「はいはい。分かりましたー」
だるそうに返す私に今度はお母さんがムッとした。わざとそういう言い方をしてやったんだから当たり前だ。

